背信的悪意者とは?悪意者との違いや、背信的悪意者からの転得者について、判例・具体例も交えてわかりやすく解説

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この解説記事のまとめ

背信的悪意者とは..?」「背信的悪意者からの転得者って..?」とお悩みではありませんか?

この記事では、「背信的悪意者の定義」や「背信的悪意者と悪意者(単純悪意者)との違い」、「背信的悪意者の具体例」について、具体例や判例を解説しています。

背信的悪意者であることの効果(第三者にあたる or あたらない)」や「背信的悪意者からの転得者」についても、わかりやすいまとめ付きで解説。

背信的悪意者について深く知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

背信的悪意者って出てきたんだけど何者?敵か味方かでいえば圧倒的に敵側感のある単語だけど。

きっと不動産の物権変動について触れているところじゃな?こいつは圧倒的に敵側のイメージで良い。デス◯ムーアぐらい悪い奴じゃ。

ダーク◯レアム以下ではあるのか。

注意

この記事は行政書士試験の受験生を主な閲覧者と想定して掲載しています。

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民法の不動産の物権変動を学習していると「背信的悪意者」という単語を目にすると思います。ここでは、「背信的悪意者の定義」や「悪意者との違い」、「背信的悪意者の具体例」について解説していきます。

背信的悪意者を示すイメージ画像

背信的悪意者とは「単なる悪意にとどまらず、信義に背くような行為をもする者」を意味し、不動産の物権変動においては「第三者にあたらないとされています(詳細は後述)。

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悪意者と背信的悪意者を示すイメージ画像
悪意者と背信的悪意者:ぱんだ塾作成

まず、背信的悪意者と悪意者の違いについて解説します。

民法上で「悪意」とは、「ある法律上の事実や事情を知っていること」を指します。「性格が悪い」といった道徳的な意味ではなく、「知っていたか・知らなかったか」が問題となるのです。

一方、「背信的悪意者」とは「その知っていた事情を踏まえて、信義則に反するような不当な目的で権利を取得した者」を指します。

つまり「他人を害するような背信的行為をしている点」が悪意者との違いとなります。例えるなら、悪意者は「悪魔」背信的悪意者は「大悪魔」をイメージすると良いでしょう。

背信的悪意者の方がヤバい奴」みたいな感じだね!字面からヤバそうな感じが溢れてるもんなあ。

背信的悪意者の具体例は、最判昭43.8.2の所有権確認請求の事件から把握することができます。この判例では、背信的悪意者にあたるかあたらないか?が争点となっています。

下記の判例の「判示事項」と「裁判要旨」に目を通してみましょう。図解と照らし合わせながら見ると、より状況がわかりやすいかと思います。

判例(最判昭43.8.2)
判示事項登記の欠缺を主張することができないいわゆる背信的悪意者にあたるとされた事例
裁判要旨甲が乙から山林を買い受けて二三年余の間これを占有している事実を知つている丙が、甲の所有権取得登記がされていないのに乗じ、甲に高値で売りつけて利益を得る目的をもつて、右山林を乙から買い受けてその旨の登記を経た等判示の事情がある場合には、丙はいわゆる背信的悪意者として、甲の所有権取得について登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者にあたらない。
判例(最判昭43.8.2)の図解①
判例(最判昭43.8.2)の図解①:ぱんだ塾作成

判例の登場人物

この判例を要約すると、「売主である乙から甲が山林(不動産)を既に購入していたが(①)、所有権取得登記がなされていないという状況(甲のものであると言い切れない状態)(②)」で、「そうした事情に味をしめた丙が、乙から同山林を購入&登記をし(③)、甲に高額で売りつけた(④)」という事例です。①〜④の数字は上記画像の時系列を示しています。

判決では、この丙はいわゆる「背信的悪意者にあたる」としています。

この事例のポイントは、丙は「甲が登記をしていない」という状況を知っているのみならず、「自分が登記を先に済ませることで、甲に山林を高額で売りつけた」ところにあります。つまり、悪意に加え、高額で売りつけた点が「信義に背くような行為」として、背信的悪意者に該当すると判断された訳です

甲さんからすると23年も山林を占有している訳だし、買わない訳にはいかないもんね..。丙はそこに目をつけて売りつけたのかあ。

困った奴じゃ。わしなら一族郎党葬り去るな。

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そんな背信的悪意者ですが、第三者にあたらないとされています。

不動産の物権変動において、第三者にあたらない人物に対しては「登記をせずとも対抗可能(=自分のものであると主張可能)」です。

判例(最判昭43.8.2)の図解②
判例(最判昭43.8.2)の図解②:ぱんだ塾作成

先ほどの判例であれば、買主である甲さんは山林の登記をしていませんでしたが、同山林を高額で売りつけた丙は背信的悪意者であることから第三者に該当しないため、甲は丙に対抗できます(甲は山林を自分のものと主張できる)。

第三者にあたる、あたらないといった論点は、民法177条の記事(物権変動の記事)で詳しく解説しているよ!こちらからチェケラ!

背信的悪意者は第三者にあたらない(登記なくして対抗可能)と説明しましたが、「背信的悪意者からの転得者の場合は第三者にあたる」とされています。

判例(最判平8.10.29)
判示事項背信的悪意者からの転得者と民法一七七条の第三者
裁判要旨所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、甲から丙が当該不動産を二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、丙が背信的悪意者に当たるとしても丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができる
背信的悪意者からの転得者を示すイメージ画像
背信的悪意者からの転得者:ぱんだ塾作成

上記画像のCさんが背信的悪意者であったとしても、そのCさんから同不動産を譲り受けたDさんは第三者にあたります。つまり、買主Bは背信的悪意者からの転得者Dさんに対し、登記がなければ対抗することはできません

なお、この場合においてDさん自身も背信的悪意者であった場合は第三者にあたらないとされ、買主Bは登記なくして対抗可能となります。

背信的悪意者まとめ
背信的悪意者第三者にあたらない(登記不要)
背信的悪意者からの転得者第三者にあたる(登記必要)
背信的悪意者からの
転得者が背信的悪意者
第三者にあたらない(登記不要)

ごちゃごちゃして整理が追いつかんかもしれんが、転得者だろうがなんだろうが、背信的悪意者に対しては「登記なくして対抗可能」という結論を覚えればOKじゃ!

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裁判所(最判昭 43.8.2)

裁判所(最判平 8.10.29)